記憶違いでなければ、キリ番800のお話かと。
ビックリマン。
オアシス
一本釣です。
因みに、二人は話の中、まだ出逢っていません。
これ以降、二人の恋物語が続きます。
意図したわけでは決してなく、気が付いたらこうなってた…
以前あげた二人とは、まったく別設定です。
シールを基本にしていますが、時々アニメが混ざったりもしています。
それにしても、日付見たら1996年9月。
ただただ、すごいなぁと思いました。
そして、すいません、古見さん!
もう少しお待ちください_(._.)_
I BELIEVE
夢を見た。
とても楽しい夢だった。
でもなぜかとても悲しい。
涙が自然と出てくる。
「なぜ? 悲しい事なんて何もないのに…」
夢に内容は今やはっきりとは思い出せない。
でも、これからの自分にとって、とても重要な事柄である事には間違いなった。
そして、その夢がこれから起こる未来の事なのか。
それとも、遥か昔の事なのか…
彼女自身にも分からなかった。
聖水泉
今日も退屈な一日が始まる。
「今日も、いい天気よね。風のウワサもそろそろ出尽くしたかしら?」
どこまでも続く青い空と広い砂漠を見ながら溜息をつく。
「オアシス天如様。今日はどうしたんです? いつもと様子が違うようですが…」
オアシス天如の側で溝掘りを始めたみぞ堀一兵はその手を休め、オアシス天如の方に振り向いた。
「なーんでもないわよ。ただ、退屈なだけだから。それに今日は…」
「今日は…どうしたんです?」
オアシス天如は少し考えるように頭をゆっくりと左右に振る。
みぞ堀一兵その間、じっと待っていた。
暫くすると、思い出したような表情になり、にっこりと微笑んだ。
「今日、素敵な夢をみたのよね
」
とても楽しそうに夢の話を始めた。
「丁度、聖フェニックス様が次界に向かって八人の若神子たちと旅立ったと云う話をこの間、聞いたわよね?」
「はい…」
「一度は会ってみたいわよね。ウワサだけは山の様に聞いているもの。もしかしたら、若神子の一人と出会えるかも知れないし…何だか、楽しくなって来たわ
」
異様にはしゃぎ出してしまった。
「こんな田舎の地になんぞ、若神子たち来るかの~」
オアシス天如の気分を、アッと云う間に粉々に砕いてしまう一言。
その事に凄く傷ついたかの様に、みぞ堀一兵に詰め寄る。
「あなた! 私のささやかな楽しみを奪い取るつもりなの?これは夢のお告げなんだから!」
いつになく、意地になった様な態度になる。
「………」
その迫力に、みぞ堀一兵は十歩ほど後ろに下がってしまった。
「何よ! わざとらしく後退りなんかして…」
どことなく、悲しい表情になる。
それが自分でも分かるのか、オアシス天如はその顔を見られないようにするみたいに、くるりと背を向けた。
みぞ堀一兵が恐る恐る近づいて行くと、小さな溜息が聞こえてきた。
「夢は所詮、夢。夢を実現するのも、夢を変えるのも自分次第! 必ずなんて事はないんだから…」
まるで、自分に云い聞かせる感じで話している。
「…何しているの?」
「………」
近づいて来たみぞ堀一兵の事なんてまるで気にもとめず、いつもの明るいオアシス天如に戻っていた。
「近いうちに素敵な天使が現れて、凄く素敵な恋を私はするの。多分、その素敵な天使は若神子の一人だと思うの」
「そうなんですか?」
自分の世界に入っているようなオアシス天如に相槌を打つわけでもなく、マイペースな感じでみぞ堀一兵は溝を掘り始めた。
「絶対、そうよ! 近い将来、必ずここに現れるわ! そして…」
またも、急に曇ったような表情になる。
断片的とは云え、夢の事を思い出していた。
素敵な天使と出会い、そして…
その先は、何故か悲しい想いがした。
ハッキリと思い出せないのに…
でも、そんな事で怖がっていたら前には進めない。
「…よし、負けない! 夢になんかに負けるか!」
「オアシス天如様?」
「うふふふ、みぞ堀一兵、素敵な天使が現れたら、真っ先に私に知らせてね
」
まるで小さな子供のように、楽しみを見つけたような表情をする。
「素敵な天使様って、どんな天使なんだ?」
みぞ堀一兵にとっては凄く素朴な疑問である。
「決まっているでしょう。笑顔を似合うカッコイイ男の子天使…」
そう云っていた途中、声が小さくなってきた。
「…オアシス天如様…」
みぞ堀一兵は廻り込むように、オアシス天如の前に出て行く。
「………」
やはり、今日、時々見せる悲しそうな表情になっていた。
しかし、みぞ堀一兵に気がつくとニコッと笑みを浮かべて空を見上げた。
おもいっきり深呼吸をする。
完全とは云えないが、一応は吹っ切れた様な表情をする。
「悩んでいたって、仕方ないものね。未来を信じないと…」
「オアシス天如様?」
静かに声をかけると、暖かい笑みを残して彼女は散歩に出かけて行ってしまった。
それから数日後…
いつもと変わらぬ、いつもと同じ日の事だった。
一人の見慣れない天使が現れたのだ。
「ここだよな…天聖門に描かれたレリーフの場所は…」
しかし、見渡す限り同じ景色が続くだけ。
ここだと云う、決定的な確証はない。
それでも、諦めず付近を歩いていると、一人のお守に出会った。
そのお守は一生懸命、溝を掘っていた。
「あの~この付近だと思うんだけど、女の子天使がいないかな?」
とびっきりの笑顔を尋ねてみた。
それを見たみぞ堀一兵は、先日のオアシス天如が云っていた事を思い出した。
『笑顔の似合うカッコイイ男の子天使…』
「おら、知ってるだよ。あんたが来るのを待っていたよ」
そして、ひとつの恋の物語がはじまった…
1996, 9/11 PM23:30UP
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