カウンター4000記念のお話です。
予告もどきとは全く違った、ダグオンです。
海×炎です。
補足もどきとして、自分で本を出していた時は、炎×竜+海と云う、ちょっとトライアングルもどきな話を書いていました(それにオリキャラも混ざって・・・)
それがなぜ海×炎かと云うと、この話は当時知り合った方と合同誌を作ることになって、その時のカップリングが相手の意見を尊重して海×炎に。
その際、自分の本では絶対書けないであろう二人を絡めて書いてみました。
しかし、相手の話がシリアスだったので自分は明るい話をと思って書いていたのですが、できてみたらシリアス風味(ーー;)
おまけに何となく気に入らなくて、別の話を書いたのですが、相手の方がなぜかこっちの話を気に入ってしまい、落とすに落とせなくなって、結局2本、載せる事になりました。
これまた余談ですが、竜の見た目ってアルトに似ている。
中身は全く違いますが(どっちかと云うと、ミハみたいだな)
気になる
最近、フッと気がつくと俺の視界には海と竜がいつも二人でいる事が多い。
最初は別に気にもしなかったし、何とも思わなかったけども、だんだんイライラと云うか、ムシャクシャと云うか、早い話が気に入らない。
理由は…ないと思う。
ただ、何となく…
そして、なぜかはじめて逢った頃の、それも海の事ばかり思い出したりもする。
そう云えば、あの頃はよく竹刀で叩かれていたっけ。
そんな事も今は懐かしい過去の思い出になりつつある。
海はダグオンの参謀格で、偵察が中心の竜と一緒にいるのは何も不自然じゃない。
別に海に竹刀で叩かれたいわけではないのだが、俺一人が取り残されている感じがする。
そんなモヤモヤしたものを抱えたままだと、いざと云う時に大変な惨事になると森に指摘されてしまった。
偶然の成りゆきでダグオンになってしまったけども、伊達や酔狂で正義の味方はやれない事はよく分かっている。
だから、森の云う事や心配もよく分かっている。
でも、今の俺は出口のない迷路の中を歩いているみたいで、なにひとつこのイライラした気持ちの解決策が見つからない。
「炎、お前さあ、海と竜。どっちに対してイライラしているんだ?」
何もできないでいる俺にとうとうしびれを切らした森が世話役をかってでた。
「―――よーするに、自分一人が爪弾きされておもしろくないんだ!」
何か違うと俺は思うんだけど、当たっているようにも思ってしまう。
「海と竜、どっちに対してと云われればやはり、海なんだろうなぁ…」
今更言い訳したってどうしようもないから素直に云ってみる。
「それじゃ、海のクラスメートの俺が場所と時間を決めておいてやる。後は炎、お前次第だ!」
俺は黙ってうなずくだけ。
「全く、いつもの猪突猛進ぶりはどこにいったのかねぇ!」
どう考えたって自分らしくないのは百も承知だけども、本当に今の俺はだんだん沈んでいる。
「がんばれよ、リーダー!」
「何をがんばるんだよ?」
「………」
森の云っている意味が分からなかったから聞き返しただけなのに、森の顔は呆れたような表情になっていた。
それから三日後。
森の世話役で場所と時間を決めて海に逢う事になった。
場所はマリアの部室。
時間は放課後。
遅刻魔と云われた俺が約束の時間より十分も早く行ったにも関わらず、すでに部室に海は来ていた。
「………」
「相変わらず遅刻魔だな、炎」
「約束の時間まで、あと十分ある。遅刻じゃない!」
俺がむきになって云い返すが、海はどちらかと云うと優しい笑顔で俺を見ていた。
「なっ、何だよ! 鬼の風紀委員長が笑うなんて天変地異の前触れじゃねぇーのか?」
おもいっきり憎まれ口を云ったつもりだが、海にはこたえてないみたいで、まるでお釈迦様の掌にのっている孫悟空の様な気分になってきた。
「森の話だと、私に話があるとの事だが、一体何だ?」
こんなふうに、あらたまって二人だけでとなると、何も思い浮かばない…
ただ何と云うか、最近海と一緒にいる事が少なかったからうまく話し出せない…
「何もないなら私は帰るぞ。まだ用事が残っているからな」
「用事って、竜と…」
俺が、独り言のように云うのが聞こえたのか、海が近づいてきた。
「炎、竜に関係する用事だと思っているのか?」
「違うのかよ!」
最近、翼から聞いた限りでは海の用事は竜関係が多いというのを知っていた。
「そうだと云ったら?」
「…俺じゃ…」
「えっ?」
今、俺は何を云ったんだ!?
どう考えたって俺が竜の代わりになれるわけがない。
大体、偵察なんて俺の性分に合わない。
でも、海と一緒の任務ができるなら一度ぐらいはと考えてしまう。
「そんなに私と竜の事が気になるのか?」
「えっ…」
とっくに部屋を出ていったと思っていた海が目の前に来ている。
「どうなんだ、炎?」
「………」
海の声がとても優しく感じる。
いろんな事が素直に話せそうになってくる。
「…海の云う通りだよ。俺、海といつも一緒にいるのか竜じゃなく俺だったら良かったのにと考えてた…」
「それでは炎、お前が偵察をやるか?」
「俺にできるわけないだろう」
「そうだな…」
あっさりと肯定される。
分かっていた事だけども、無性に悲しくなってきた。
「ごめん海。俺、竜に嫉妬していたんだ…ダグオンになった頃はまだよく分からなかったけど…でも、そんな時いつも海が側にいてくれたから…それが当然だと思っていたんだ…」
もう、海の顔を見て話す事ができなくて、俺は顔を伏せたまま。
早く海が部屋から出ていくのを願っていた。
その願いが通じたのか、海の足音が聞こえてきた。
しかし、その音はドアに向かうのではなく俺に向かってきている。
俺は、顔を上げてみるとさっきより更に近くに海の顔が目の前にある。
俺は、全身の血が顔に集まって自分の真赤になっていくのが分かる。
「ありがとう、炎…」
「………?」
海からお礼を云われても何も心当たりはない。
いつも怒られているから…
そう思っていたら海が更に近づいてきて、俺を抱きしめた。
「かっ、海…!!」
「今、私は自惚れたい気分だ…」
俺は会の腕から抜け出そうともがいていたら、その言葉に俺の動きが止まってしまった。
「りっ、竜とは…」
俺の云いたい事が分かったのか、海は軽い笑みを浮かべる。
「竜は偵察だけだ。ついでに森からもいろいろと頼まれていたからな」
「森から?」
それじゃ、森は竜のこと…
「森は女の子と青春を謳歌するんじゃなかったのか!?」
どうしても俺の想像枠を超えている。
「だから、私に頼んできたんだ」
海に云われると今までの事がなぜか納得してしまう自分が単純だと思った。
でも、今は海と一緒にいる事が少しうれしい。
そのまましばらくは、俺と海は今までのすれ違いを埋めるようにたくさん話し合った。
1997, 1/ 7 AM 5:29UP
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