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日常のちょっとしたこと 仔猫の成長日記 好きなアニメ・マンガの閑話休題

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プロフィール
HN:
神尾 志
性別:
非公開
趣味:
最近は仔猫の成長を見ること
自己紹介:
九州在住。
夏は暖かく、冬は涼しい。
夏は不明だが、冬場は県内で2番目に寒い地域。
氷点下なんて当たり前!

イベントには,今のところコミケのみ参加しています。
サークル名は『ЧТО ЭТО』ですが、イベントには『TRAUM』、もしかしたら思い出したかのように『北の都』で参加したりもしています。
ジャンルはビックリマン(ピーター×アリババ)はほぼオンリーのみ。
それ以外はマクロス(ミハアル)です、たぶん…



コミックス

ハーメルンのバイオリン弾き ~シエルクンチク~ 8(完)
ユーベルブラッド 11
ブロッケンブラッド 8
マクロスプラス 1・2(完)
百姓貴族 2
戦う!セバスチャン♯ 2
少年セバスチャンの執事修行 2
ちびさんデイト 2
銀の匙 3
タブロウ・ゲート 10
コーセルテルの竜術士 ~子竜物語~ 4

映画

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ロボジー
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CD
FULLMETAL LCHEMIST THE BEST
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無事、入稿終りました。
いろいろあって、やっぱり途中までになって、見事に続きものとなりました。

多少(?)ブログにあげたモノと本になったモノとでは違います。
そんなに大差は無いんですけどね

Ewig4




 エドワードは執務室に入るなり大きく息を吐いた。
 ロイは定位置とも云える場所に腰を下ろして、エドワードを見ている。
 いつもなら書類の山で埋め尽くされている机だが今日は必要最低限の道具しか置かれていない。
 先程の事もあり、何かあるのではないかと疑ってしまう。
 しかしロイの態度はただエドワードを見て、胡散臭い笑みをいつも以上に振りまいているようにしか見えない。
 エドワードはここまできた以上、仕方がないと思う事にして、兎に角報告書をさっさと渡して帰るしかない。
 報告書が入った茶封筒を机の上に置こうとしたときだった。
「さあ、鋼の?」
「なっ、何だよ?」
 今から報告書を渡そうかとする直前にロイから声を掛けられた。
 報告書なら今出すと云おうとしたエドワードに、またしてもロイの意味不明な言葉が聞こえてきた。
「彼は一体何者なのだ?」
「彼?」
 エドワードは頭で、ロイの単語を繰り返す。
 彼とは、即ち男の事。
 男と云えば。
「アルフォンスの事か? アルは…」
「違う!」
「じゃあ、誰だよ!」
「昨日、街角のオープンカフェに君と一緒にいた人物の事だ」
「昨日? オープンカフェ?」
 ロイの言葉にエドワードは全く心当たりがないといった表情を浮かべている。
「何の話?」
「惚けているのかな?」
「惚ける?」
「昨日、オープンカフェに君は居ただろう?」
 ロイは昨日エドワードを見かけた店の名を上げる。
 するとそこでやっと思い出したという様な表情にエドワードは変わっていった。
 ロイの云うとおり、昨日エドワードはオープンカフェに居た。

 イーストシティ駅に着いた直ぐに常宿となっているホテルにエドワードは向かった。
 いつも余裕がある客室だが、たまに運やタイミングが悪くて部屋が取れない時もあったりする。
 前回は見事にそれになってしまい、二人は急いでホテルに向かったのだ。
 その途中、アルフォンスからホテルは自分が確保するから兄さんは司令部にと、しつこく云われたエドワードだが、少し休憩してからと提案。
 列車ではあまり休めていない様子を見ているアルフォンスは、仕方ないと兄に同意。
 ホテルに着いて、休憩したら直ぐに軍部に行くのかと思ったら、今度は腹が減ったと云いだした。
 これまたそう云われると、アルフォンスは食事を勧めるしかなかった。
 例え直ぐに司令部に行きたくない理由であっても。
 自分の事を気遣って、食べる事を無意識に制限したりする時もある兄エドワード。
 そのエドワードが食べたいと云う時、アルフォンスはどんなことよりも兄の食欲を優先させていた。
 その時、既に常連であるエルリック兄弟にホテルの主が、最近できたカフェの事を持ち出してきたのだった。
 そのカフェのワッフルがとても美味しいと云う評判だという。
 今は食事を全く必要としないアルフォンスが珍しく食べてみたいと云うのだ。
 弟の願いをいつか叶えてやる為に、エドワードはそのカフェに行ったのだ。

「ああ、あのカフェね! うん、昨日行った。ワッフルがおいしいってホテルで聞いたから、食べに行ったんだ」
 その時の味を思い出したのか、とても幸せそう表情を浮かべるエドワード。
 その話はロイも聞いてはいた。
 ワッフルが評判で、ハボックが今口説いている彼女を連れて行きたいと云っていたのを。
「それで」
「それで?」
「一緒にいた相手は何者だね?」
「一緒にいた相手? 俺は一人で店に行ったけど?」
「ならば、店で同席していた相手だ」
「同席なんてしてない! オレはあの店に居た間、ずっと一人だった!」
 いくらロイにしつこくそう云われても、ずっと一人で居たのだ。
 エドワードには同席していた相手など全く覚えがないのだ。
「私に良く似た人物と一緒だったらしいと」
「大佐に似た人??」
 エドワードの表情がとても嫌そうになっていく。
「・・・なんだね、その顔は? ハボックがそう云うのだ。後で聞いてみたまえ」
「ええーッ!!」
 ハボックの名を出され、エドワードは更に混乱していく。
 ロイにしろ、ハボックにしろ、一体自分の何を見ていたのだろう。
 ただワッフルを食べに行っただけなのに…
 エドワードはこんな事になるんだったら、駅について直ぐに司令部に来ればよかったと、少しだけ後悔をし始める。
 一方ロイはこの話はエドワードが頑なに否定し続ける限り並行線である。
 これ以上平行線を続けても意味がないと判断した。
「フウ…まあいい。それより報告書を」
「あ! ああ、これ!」
 ロイに云われ、エドワードは急いで手に持ったままだった報告書をロイに渡す。
 ロイは報告書を受け取り、封を開け読んでいく。
 ロイとしてな、エドワードが今話さなくとも、ハボックには相手の事を調べさせている。
 近いうちに結果が届くだろう。
 今日のところはこの辺にしておこう。
 だが。
「何だよ!」
「どうしたのかね」
「…真面目に書いているのに、何が可笑しいんだよ!」
「えっ?」
 エドワードの言葉にロイは思わず口元に手を持っていく。
 どうやら無意識に今後の事を考えて思わず笑みを漏らしていたらしい。
 ならば、実行に移すだけ。
「そうだ鋼の」
「何だよ」
 憮然とした表情で返事をするエドワード。
 そんな態度を見て、ロイは自分の感情が以前と違っているのが分かる。
 以前なら苛立ったかも知れないエドワードの態度が、今は可愛いと思えるのだ。
 全く、痘痕も笑窪である。
「5時に正門、いや、ここに来たまえ」
「えっ?」
「どうせ今から資料室に行くのだろう?」
 ロイに報告書を出した後のエドワードの行動は、ほぼ決まっていた。
 図書館に行くか、司令部内の資料室に行くか。
 今の状況から行って、時間は午後。
 朝から来るのならば図書館に向かうが、この時間帯なら資料室に向かう。
 そして何かがない限り、ずっと資料室に篭ってしまう。
 例え事前に約束を取り付けていても、本に向かってしまえば、それは遥か彼方の事になってしまう。
 エドワードが時間通りこの部屋に来る事はほぼ。
 いや間違いなく、ない。
 ならばロイの方からエドワードの所に向かうしかない。
 何としても時間までに仕事を終え、エドワードを資料室まで迎えにいく。
 その為に昨日は残業までして、今日の分までの書類にサインをしたのだ。
 おかげでいつも、いや当たり前となっていた書類の山が今日はないのだ。
「君が興味ありそうなものは目録を見る限り見当たらないが、それでも何かしらの参考にはなりそうなモノはあるかも知れない」
「そうなの?」
 不機嫌さは変わらないが、ロイの言葉に少しは興味が示す。
「それを決めるのは君だ」
 ページの隅っこに何気なく記載されている事が、もしかしたら大きな手掛かりにならないとも、限らない。
 もしくは以前見た資料や書物でも、初めて見た時と時間が経って見るとでは、違う視点で見ることができる事だってある。
「………目録、ある?」
 考えながらロイに尋ねる。
「ああ、ここに」
 ロイはデスクの引き出しからファイルを取り出し、エドワードに渡した。
「ふ~ん、こんなもんか…」
 パラパラと斜め読みに近い感じでファイルを見ていく。
「これ、もっていてもいい?」
 どうやらエドワードが興味を持ちそうなモノが逢ったらしい。
「構わないよ。だが、後で必ず返してくれ」
 係も煩いが、中尉も煩く云うからと、些か疲れ気味な感じでロイは云う。
「分かった」
 それだけ云うとロイの様子は無視して、エドワードは部屋を出て行こうとする。
「鋼の!」
 無視されたロイは少しムッとするが、そこは大人である。
 そんな事気にしていない、彼としては親愛の情を込めた笑顔をしてドアを開けようとしたエドワードを呼び止めた。
「なに?」
 溜め息混じりに返事をして振り返る。
「―――!?」
 エドワードとしては、いつも以上に胡散臭さ満載も笑顔に思わず絶句してしまう。
「5時。忘れるなよ」
「…あっ…ああ、分かった…」
 反論したかったエドワード。
 だが、あの笑顔になぜか恐怖を感じてしまい、素直に返事をするしかなかった。



続く
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