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日常のちょっとしたこと 仔猫の成長日記 好きなアニメ・マンガの閑話休題

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プロフィール
HN:
神尾 志
性別:
非公開
趣味:
最近は仔猫の成長を見ること
自己紹介:
九州在住。
夏は暖かく、冬は涼しい。
夏は不明だが、冬場は県内で2番目に寒い地域。
氷点下なんて当たり前!

イベントには,今のところコミケのみ参加しています。
サークル名は『ЧТО ЭТО』ですが、イベントには『TRAUM』、もしかしたら思い出したかのように『北の都』で参加したりもしています。
ジャンルはビックリマン(ピーター×アリババ)はほぼオンリーのみ。
それ以外はマクロス(ミハアル)です、たぶん…



コミックス

ハーメルンのバイオリン弾き ~シエルクンチク~ 8(完)
ユーベルブラッド 11
ブロッケンブラッド 8
マクロスプラス 1・2(完)
百姓貴族 2
戦う!セバスチャン♯ 2
少年セバスチャンの執事修行 2
ちびさんデイト 2
銀の匙 3
タブロウ・ゲート 10
コーセルテルの竜術士 ~子竜物語~ 4

映画

海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン
ロボジー
逆転裁判
バトルシップ

CD
FULLMETAL LCHEMIST THE BEST
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3回目です。
冬コミで、本出ました。
なんとか…

ハートに火をつけて3


2


やっぱ、場違いだろう?


「大佐?」
「何だね、鋼の?」
「これって、一体何?」
「何って・・・見ての通り、パーティーだが?」
「・・・確かに、パーティー何だけど、何かおかしくないか?」
「どこがだね?」
「どこって・・・この会場見て、一目瞭然じゃねぇーか!」
 エドワードがパーティー等に出るのは、もちろん初めてではない。
 イーストシティ・セントラル等に、偶々立ち寄っていた場合、国家錬金術師という軍属の立場上、どうしてもエドワードが出なければならない事が今まで数回あった。
 その時の服装は、常時黒の上下ばかり着ている事も幸いしてか、赤いコートを脱いだいつもの服装でも煩い事は云われる事は一度もなかった。
 しかし、今回は違っていた。
 セントラルに到着した途端、国内最高級のテイラーの元に連れて行かれ、直ぐに採寸。
 三日後には一着のスーツが仕上がっていたのだ。
 そのスーツはいつもエドワードが着ている服と同じ黒であるのだが、生地は最高級のシン産のシルク仕立てで、光沢も美しかった。
 エドワードはその三つ揃いを着てこのパーティーに出席していた。
 足元だけは、いつものエンジニアブーツであったが・・・
 そして、一緒にセントラルに来たロイは、エドワードの隣に立っていた。
 ロイの服装は軍服ではあるが、いつも着用している軍服ではなく、裾の長い礼服。
 穏やかな笑みを浮かべ、時々自分の前を通っていく相手に対して、軽い会釈を繰り返していた。
 そんな遣り取りが一段落して数分。
 やっと二人だけで、話が出来るようになっていた。
「君は・・・本当に何も知らないのかい?」
「何を?」
「大総統の命でここまで来たのだろう?」
「だから、大佐ンとこに寄って、ここに来いと云われただけだって云ったじゃんか!」
「そうだったかね?」
「ムカツク」
 会場に到着してから、エドワードとロイの会話は同じ内容を何度も繰り返していた。
 エドワードが何度同じ内容の事を聞いても、ロイは適当にはぐらかしていた。
「コレって、どうみても見合い、だろ?」
 エドワードはロイから引き出したかった単語を自分から口にした。
「大佐の、な?」
 オマケをつけて。
「はあ?」
「かなり年齢に幅はあるけどさあ、何でオレまで・・・」
「君・・・」
 ロイは呆れたように想い人見つめた。
 見つめられている想い人、エドワードは溜息をつきながら会場を見渡していた。
 軍主催のパーティーなどで会場にいるのは、主催者側である軍のお偉いさん。
 形だけの議会の議員。
 そして、財界や地域の重鎮。
 この三種に共通しているのは、全員ある程度の年齢が入った人々だった。
 たまに女性もいたりするが、それでも男性と同じでかなり年齢がお高めである。
 ところが今、エドワードの目の前にいるのは、いつもの三種の方々に、どう見てもただついてきただけとはとても思えない、女性の数。
 ざっと数えただけでも二十人以上はいるだろうか。
 年齢も十代、それもどうみてもエドワードより絶対年下と思える子から、亡くなった母がもし生きていたらと思えるような年齢の女性陣まで。
「大佐?」
「・・・何だね?」
「どうみてもおかしいだろう?」
「何がだね?」
 又も不毛な会話が始まる。
「いい加減惚けるなッ!」
「何の事だね?」
 エドワードの苛々した問に対して、ロイは完全にのらりくらりと交わしていく。
「この面子だよ!」
「メンツ、とは?」
 ロイの態度は無視して、エドワードは言葉を続けた。
「いつもは爺さん婆さんばかりなのに、何で今日に限って若い女の人がこんなにたくさんいるんだ?」
「鋼の」
「なっ、何だよ・・・」
「君は・・・」
 ロイは大きく息を吐く。
 ここまでくれば一般的に何かしら察するモノがあるだろうに、エドワードはまったく判っていない様子。
 先程、自分で云っておきながらである。
 流石にロイも呆れてくる。
「まあ、君の云う事も多少入っているかも知れないが、今日の主役は私ではなく、君だ」
「はあ?」
「鋼の」
「オレ?」
 エドワードは自分の耳を疑った。
 しかし、ロイは自分を静かに見つめている。
 そして頷く。
「何で?」
 ロイは、静かに息を吐きながら口を開いた。
「今日は君の、鋼の錬金術師のお見合いパーティーだ」
「はあ」
 エドワードは再度自分の耳を疑った。
 どう見ても、考えても、おかしい。
「何で 大佐じゃないの?」
「残念ながら、君だ」
 今のロイの言葉に、エドワードの表情が少し歪む。
 その様子を見て、ロイは『しまった!』と思ったが、エドワードに言葉をかける前に口を塞がれた。
「だから、どうして?」
「先行投資だそうだ」
「センコウトウシ? 何それ?」
「君の将来性が高く買われたんだ。喜びたまえ」
「ンなの、ちっとも嬉しくなんかねぇよ! それに、コレって考えようでは、一生軍の狗じゃねぇーか!」
「まあ、そうとも云えるな」
「・・・・・・・・・」
 ロイの言葉を聞き、エドワードはパーティー会場を見渡した。
 そして、ロイを見る。
 自分の見合いだと云うこのパーティー。
 だがロイも一緒に参加している時点で、彼の見合いでもあるのだとエドワードは悟った。
「どうした?」
「大佐は、上を目指すから、いつかは・・・」
「鋼の、それは…」
「・・・・・・・・・」
「君は・・・」
 ロイは深く大きく息を吐く。
 そして改めた口調でロイは口を開いた。
「君は何を考えているのだね?」
「いろいろ…」
「そのいろいろ、とは?」
「・・・いろいろ」
 今度はロイの方が会場を見渡した。
 先程、エドワードが少し口走った事を考えると、今、彼が何を思っているのか、ロイには自ずと分かってくる。
 ―――また余計な事を・・・
 エドワードと正式に付き合い始めてからも、こんな事が何度となくあった。
 その度にロイは、自分にはエドワードだけだと言い聞かせていた。
 自分の事を考えてくれるのは嬉しいのだが、エドワードはあまりにも自分自身の事を蔑ろにしている事が、ロイには悲しかった。
 エドワードはいつもロイに、こう云うのだ。
『上に行くのにオレが邪魔になったら、とっとと捨てても構わない』
 と。
 その言葉がエドワードの本心ではないのが、ロイが一番良く分かっていた。
 そして、彼にそんな言葉を云わせてしまう自分自身に、ロイは苛立ってもいた。
 彼にはいつでも自分の側にいて、笑っていて欲しいのに。
「・・・鋼の。いや、エドワード」
「・・・?」
「エドワード…確かに私は上を目指している。その事で君が今、思っているような事がないとは云えない」
「だったら…」
「だがね、鋼の…」
 二人が、いやロイがこれからの事について真剣にエドワードに語ろうとした時。
 ロイの背後から大総統が声をかけてきたのだった。
「楽しんでいるかね?」
「大総統閣下!」
 エドワードはペコリと頭を下げる。
 ロイも軽く頭を下げ、ブラッドレイの前から移動した。
 ブラッドレイはとても機嫌がいいようで、満面の笑みを浮かべていた。
「あの…」
 エドワードは少し戸惑いながら大総統に話かけようとするが、先にブラッドレイの方から声をかけてきた。
「どうかね? 鋼の錬金術師君。気になる子でもいたかね?」
「あの~」
 エドワードは改めて声を出した。
「ん? どうしたのかね? 遠慮なく云いたまえ」
「大総統閣下、今回の呼び出しって…」
 エドワードは今回の件について、改めてブラッドレイに訊ねてみた。
「あっ、君にはまだ正式に伝えてはいなかったようだね。マスタング大佐?」
「はい。彼が東方司令部に到着すると直ぐ中央へと移動をしましたもので…」
 ロイは、簡単に先日までの経緯を説明した。
「そうかね。それはすまない。実を云うともう少し準備などに余裕を持ちたかったのだが…」
「それで、コレは?」
 ブラッドレイは会場を見渡しながら、少し困ったようで、実は満足げに話し始めた。
「君の噂を聞いてね。是非紹介してくれといろいろな所から訪ねられてね。一人一人に紹介してまわるよりは、一掃全部まとめてと思ってな。気がついたら今回の結果だ」
「はあ…そうですか」
「ついでにマスタング大佐の話もあったから、まとめてな」
「…それは…ありがとうございます」
 やはり、今回に仕掛け人はキング・ブラッドレイ大総統本人。
 退屈しのぎに今回の計画を、思いついたのだろう。
 そうと分かれば、いつまでもここにいる必要はない。
 自分の相手は既に決まっている。
 今後も変わることは、ない。
 だったら、とっととこの場から一刻も早く、出て行くだけである。
 ロイは小さく息を吐く。
「閣下!」
「ん? 何だね?」
「誠にすいませんが、鋼のが気分が悪いと云っていますので、退出させてもよろしいでしょうか?」
 どうやら、ロイはブラッドレイがこの場に来た事を利用して、会場から抜け出す事を考え始める。
「おや? 鋼の錬金術師君がね?」
「先程も云いました通り、鋼のにはかなりの強行スケジュールでここ、セントラルまで参りましたようで。少し体調が優れないらしく、誠にすいませんが、少し休ませてやりたいのですが…それに、このような場面にもあまり免疫がないの、余計な神経を使って知るようですし…」
 先程の二人の会話ではあまりいい話がなく、落ち込んでいるエドワードの表情をロイは最大限に利用した。
「う~ん。今日の主役が倒れられでもしたら、私としても困るし。まあ、そう云うのなら…しょうがない、退出を許そう」
「ありがとうございます」
「大佐…」
「さあ、鋼の。それでは閣下、失礼します」
 戸惑うエドワードの腕を掴むと、半ば強引に抱き寄せ、ロイは会場を後にした。
 その二人の後ろ姿を眺めながら、キング・ブラッドレイはとても残念そうな笑みを浮かべていた。
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