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日常のちょっとしたこと 仔猫の成長日記 好きなアニメ・マンガの閑話休題

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神尾 志
性別:
非公開
趣味:
最近は仔猫の成長を見ること
自己紹介:
九州在住。
夏は暖かく、冬は涼しい。
夏は不明だが、冬場は県内で2番目に寒い地域。
氷点下なんて当たり前!

イベントには,今のところコミケのみ参加しています。
サークル名は『ЧТО ЭТО』ですが、イベントには『TRAUM』、もしかしたら思い出したかのように『北の都』で参加したりもしています。
ジャンルはビックリマン(ピーター×アリババ)はほぼオンリーのみ。
それ以外はマクロス(ミハアル)です、たぶん…



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ハーメルンのバイオリン弾き ~シエルクンチク~ 8(完)
ユーベルブラッド 11
ブロッケンブラッド 8
マクロスプラス 1・2(完)
百姓貴族 2
戦う!セバスチャン♯ 2
少年セバスチャンの執事修行 2
ちびさんデイト 2
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タブロウ・ゲート 10
コーセルテルの竜術士 ~子竜物語~ 4

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最後です。
一応。
おまけ、どうしましょう?

いるのは、大佐とアルだけだけど…

ハートに火をつけて6


5


それでも私は、君を選ぶ。


 エドワードの見合い話が、ロイの耳に入ってから一週間。
 二人はイーストシティに戻ってきていた。
 そして、いつものように東方司令部のロイの執務室。
 ロイは定位置の自分のデスクに、エドワードはそのデスクの前に設置しているソファに座っていた。
 エドワードはロイから渡された資料に目を通していた。
 そして、一言呟いた。
「全部大佐に任せる」
「良いのか?」
 何が、とは聞かないロイ。
 全て分かっての返事。
「良いも悪いも、オレは全く興味ないし、その気もない。相手に悪いだろう?」
「まあ、確かに」
 エドワードは今回の見合い、全て断る事をロイにまかせることにしたのだ。
 天才国家錬金術師とは云え、まだ修行中だ、と云う理由をつけて。
「今回の話。すべて断るのだな」
「うん。有耶無耶にして、変に期待を持たせるよりはすべてハッキリ断った方が相手にいいだろう?」
「まあ、確かにそうだが…だからと云って、向こうは諦めていないと思うがね」
「えっ? どうして…」
 ロイの言葉を、エドワードは不思議に思った。
 国家錬金術師とは云え、ただの子供の自分にどうしてそこまで入れ込むのか、と。
 ロイは全く理解できていないエドワードを見て、少し笑みを浮かべながら小さく溜息をついた。
「君は自分の価値を低く見積もっているようだが、あの連中にからすれば、君は最高級品なんだよ」
 ロイは自信たっぷりにエドワードの事を持ち上げた。
 自分が見つけ出し、育てている、素晴らしい恋人なのだ。
「そうなの?」
 問題ばかり起こしている自分にどうしてそのような価値がつくのか?
 エドワードには正直、理解できないでいた。
「君が正式に婚約者などを連れて、大総統に紹介でもしない限り、今回のような話は何度でも来るだろう」
「それって、大佐の経験から?」
「まあな」
「ふ~ん」
 エドワードの素っ気ない返事にロイは慌てて立ち上がり、今の言葉を補正すべく、ソファへと移動していく。
「云っておくが私は全て断っている。決まった相手がいるようにして」
「それって、中尉の事だよね?」
「ハア」
「グラマン将軍に聞いた」
「将軍に」
「グラマン将軍、密かに狙っているみたいだけど?」
「はあ・・・」
 ロイの脳裏には、先日の見合いを抜け出した時にエドワードが云っていた事を思い出していた。
 あの時、エドワードはロイの妻になるのなら、見知らぬ人よりはホークアイの方が良い、と云った事を。
 エドワードはとても気にしていた。
 あの時は状況等を利用して、何とかエドワードに自分はその気がない事を理解してもらったが、今はあの時とは、違う。
 ロイは今までに何度云ったか分からないが、またこの場で自分の正直な気持ちをエドワードの云って聞かせる事にした。
「確かに。将来についてはお互いどうなるかわからないだろう。それぞれ目指しているモノがある。その道の途中、もしかして道の袂を分ける事もあるかも知れない」
「………」
「だが、今は…」
 ロイはエドワードを抱き寄せ、静かにその瞳を見詰めた。
「今は、君だけだ。あの時も云ったが、君に対する気持ちは変わらない」
「・・・」
 いつもとは全く雰囲気が違う、いや、今までエドワードが出会ったことのなうようなロイの態度にその顔色は次第に赤く色づきはじめていた。
「私は、何ものにも代えがたいくらい君の事が…」
「・・・」
「私は君を、エドワードを愛している」
 エドワードの全身はコートの色に負けないくらい、赤く染め上げていた。
 しかし、ロイの攻撃はまだ終ってはいなかった。
「私が選ぶのは君だ、エドワード・エルリック、唯一人だ。これだけは嘘・偽りのない事実だ」
「…うん」
「私は一生、君以外を娶るつもりはない」
「娶るって・・・オレは男だぞッ」
 突然のロイの宣言にエドワードは驚いた。
 それでも真赤になりながら反論するエドワードを宥めるようにロイは優しく話していく。
「そうだね。だが、アメストリスの法では同性婚は違法と云う項目はないんだ」
「はあ」
 どうも、話の先が読めないエドワード。
 いや、何となく分かる気はするが、分かりたくない気の方がかなり大きい。
 反面、ロイは凄く楽しそうにエドワードに触ってくる。
「調べたんだよ」
「閑人」
「徹底的にね。過去にも遡って」
「ホント、ヒマ人」
「そうしたら、どこにも記載されていなかったからね。同姓婚は不可とはね」
「中尉たちだが可哀そうだ。こんなバカ上司の下について」
「別に私が大総統になるのが遅くなっても、合法的に君を手に入れる事が出来るわけだ」
「もっと他の事にその労力を傾けろよ…」
 呆れた表情のエドワードだが、次の瞬間、
「でも、ありがとうな」
 小さな声で呟いたエドワード、その顔は仄かに赤かった。
 その小さな呟きはしっかりとロイの耳にも届いていた。
「別に礼を云われる筋合いはないと云っただろう。すべて自分の為にやっているのだから。まあ、牽いては君の為に」
 ロイの言葉を聞いて、エドワードは少し考え込んだように俯いた。
「あのさ…」
「ん? 何だね」
「アルやウィンリィ、そしてピナコばっちゃん。この三人はオレの大事な人なんだ」
「分かっているよ」
「でも、この三人以外で一番なのは、大佐…」
「―――」
 直接的な言葉ではないが、ロイは一瞬だが自分の耳を疑った。
 エドワードからその様な事を云われるのは、本当に珍しい事なのだ。
 エドワードを抱きしめるロイの腕に、自然と力がこもっていく。
 腕の中の住人は、大人しくロイの肩に頭を置いて、軍服を握り締めていた。
 そんな静かで幸せな時間に、突然の終わりが訪れた。
「失礼します、マスタング大佐」
「―――」
 ノックの音と共に、ホークアイに声が部屋に響いたのだ。
 二人は慌てて、いやエドワードの方から慌ててロイから離れていく。
 ロイは大きく、そして残念と落胆しながら息を吐く。
「入りたまえ」
 ロイの許可がおりると静かにドアは開き、両手一杯の仕事を持ったホークアイが入室してきた。
 ホークアイは真赤になったエドワードと、残念そうなロイを見て、少し不思議そうな表情を浮かべるが、直ぐにいつものクールさに戻っていた。
「エドワード君、列車の時間、大丈夫?」
「えっ! もうそんな時間なの?」
 ホークアイの言葉を聞いて、エドワードとロイは時計を見た。
 予定の列車でアルフォンスが待つリゼンブールに向かうには、そろそろここを発った方が良い時間になりつつであった。
 エドワードはロイが用意した資料を鞄の中に入れると、ソファから立ち上がり、少し崩れてしまった服装を正した。
「それじゃな」
「気をつけて行きたまえ」
 ロイも立ち上がろうとした時だった。
「ありがとうな」
「えっ?」
 次の瞬間、ロイの頬にほのかな暖かさを感じた。
「あら」
「そっ、それじゃ…」
「?」
「行ってきます…」
「―――」
 エドワードは顔を真赤にして部屋を出て行った。
 残されたロイは暫し、呆然としていた。
 今の出来事はなんだったんだろうか、と。
 これまで、二人のキスは100%、ロイからであった。
 ロイがどんなにお願いしても、エドワードは顔を真赤に染めて、動けなくなるような状況ばかり。
 そのエドワードが頬とは云え、ロイに初めてのキスをしてきたのだ。
 ロイは頬を触り、嬉しさを噛み締めていた。
 だが、
「大佐?」
 ロイの視界にホークアイの笑顔があった。
「まあ、今のはエドワード君からでしたから、何も致しませんが…」
「・・・あっ、あの…」
 ロイの背中から、大量の汗が噴出してきていた。



 薄暗い建物の中を通り過ぎると、エドワードの視界に大量の光が溢れていた。
 エドワードは空を見上げた。
 そこには、雲ひとつない、真っ青の空が広がっていた。
 エドワードはそんな空を見て何だか嬉しくなって、思わず満面の笑顔になっていた。
 そして、少し背伸びをすると、駅に向かって元気良く駆け出して行くのであった。

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